アクリルを含む各種素材の耐熱温度はこちら!

私たちの周りにはたくさんのプラスチック素材があふれています。
アクリル板やペットボトルなど日常にある身近なものから、看板や建築現場等の専門資材としてなど、プラスチック素材はあらゆる分野で使用されています。
また、最近ではこれらのプラスチック素材を使用したDIYなども人気があり、専門の業者さんだけではなく一般の方にも幅広いニーズがあります。

このように一般の方にも身近なものになってきているプラスチック素材ですが、素材の種類やそれぞれの特徴はいまいちよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
例えば、実際にプラスチック素材でDIYをしようと思っても、これらの知識が無ければ素材選びも難しいですよね。
そこで今回は、各プラスチック素材の耐熱温度や強度、耐候性、透明度などの特徴をそれぞれご紹介していきたいと思います。
プラスチック素材の購入やDIY製作の際に役立つ情報になっています!ぜひ最後までチェックして下さい☆

 

まずは各素材の「耐熱温度」についてご説明していきたいと思います。
はじめに、プラスチック素材の耐熱温度を表す指標として「連続使用温度」「熱変形温度」があります。
「連続使用温度」(=「連続耐熱温度」とも呼ばれる)とは、40,000時間一定の温度の大気中に放置した場合に、物性に固有の数値的な性質である物性値が初期値の50%劣化した温度のことをいいます。(※尚、以下こちらのコラムでは「連続使用温度」で記載します。)
一方「熱変形温度」とは、一定荷重をかけた状態において、温度を一定速度で上昇させた場合に、プラスチックのたわみが一定以上になる温度のことをいいます。熱変形温度は、「荷重たわみ温度」とも呼ばれています。

プラスチックには、熱を加えた時に溶ける「熱可塑性プラスチック」と、反対に硬く固まる「熱硬化性プラスチック」とに分けられます。素材の耐熱性と聞くと、ものが溶けるときの温度だけを意識してしまいがちですが、耐熱温度というのは、素材元々が持つ強度をはじめとする物理的な性能を発揮できる限界の温度であり、例えばある温度を超えると軟化したり、性能が落ちてしまうというような場合も理解しておく必要があります。
以下でそれぞれの素材の耐熱温度について詳しく見ていきたいと思います。
加工のしやすさを比較するためにも、今回は熱変形温度を基準にご説明していきます。

素材 連続使用温度 熱変形温度
アクリル板 80~90℃ 85〜100℃
ポリカーボネード 120℃ 137〜142℃
塩ビ板 60~65℃ 58~68℃
PET板 70~104℃
アルミ複合板 100℃
スチレンボード 60℃
PP板
(P.Pシート(低発泡ポリプロピレン))
57~65℃

※数値は参考値であり保障値ではありません。

アクリル板は85〜100℃

アクリル板 85〜100℃

まずはプラスチック素材の王道「アクリル板」です。
アクリル板の融点は90から105℃で、耐熱温度(熱変形温度)は85〜100℃です。
耐熱温度が85〜100℃と、15℃程加工温度の幅があるため、比較的熱加工がしやすい素材です。

ポリカーボネードは137〜142℃

ポリカーボネート 137〜142℃

次はポリカーボネートです。
ポリカーボネートは表の通り、加工可能温度の幅が5℃程しかないため、熱加工がしにくい素材です。
特にパイプヒーターなどで加熱し、曲げると言ったような曲げ加工は難しいです。熱が冷めやすいため曲げにくく、気泡が出来たり白っぽくなってしまいます。

塩ビ板は58~68℃

塩ビ板 58~68℃

塩ビ板は、アクリル板同様に10℃程加工温度の幅があるため、比較的熱加工がしやすい素材です。

PET板は70~104℃

PET板 70~104℃

PET板も塩ビ同様で、比較的熱加工がしやすい素材です。

アルミ複合板は100℃(連続使用温度)

アルミ複合板 100℃(連続使用温度)

次にアルミ複合板です。アルミ複合板は芯材に発泡ポリエチレン樹脂(白色)を使用し、カラーアルミで挟んだ複合板であるため、基本的に熱加工はできません。

スチレンボードは60℃

スチレンボード 60℃

次にスチレンボードです。スチレンボードは、「ポリスチレンフォーム」という一般的には住宅断熱材に用いられる発泡プラスチック素材を、看板などにも使用できるよう適度な強度を持たせてボード状にしたもので、燃えてしまう素材のため熱加工はできない素材です。

PP板(P.Pシート(低発泡ポリプロピレン))は57~65℃

PP板
(P.Pシート(低発泡ポリプロピレン))
57~65℃

こちらもポリカーボネート同様に、加工温度の幅が8℃程度しかないため、熱加工がしにくい素材です。

 

各素材の特徴はこちら

上記では各素材の耐熱温度についてお話してきました。
ここからは各素材のその他の特徴についてお伝えしていきたいと思います。
各素材さまざまな特徴を持っていますが、今回は「強度」、「耐候性」、「透明度」の3点で比較してみたいと思います。

強度

アクリル板 ポリカーボ
ネート
塩ビ板 PET板 アルミ
複合板
スチレン
ボード
PP板
強度

まずは「強度」についてです。
強度に関してはご覧の通り、「ポリカーボネート」がダントツです。
ポリカーボネートは、アクリル板や塩ビ板の数倍の耐衝撃強度を持つと言われています。しかし一方で、傷が付きやすい素材であるため用途を選んで使用する必要があります。
反対に「スチレンボード」はポリスチレンフォームという一般的には住宅断熱材に用いられる発泡プラスチック素材を、看板などにも使用できるよう適度な強度を持たせてボード状にしたものであり、基本的に発泡スチロールのような素材であるためそれ程強度は強くありません。

耐候性

アクリル板 ポリカーボ
ネート
塩ビ板 PET板 アルミ
複合板
スチレン
ボード
PP板
耐候性

次に「耐候性」についてです。
まず、プラスチック素材に対して使われるこの「耐候性」という言葉ですが、意味としては文字通り、天候や温度、太陽光や紫外線などの気候の変化・状況に対する耐性のことを言います。例えば耐候性が低い素材だと、気候の変化によって変形したり変色、劣化が起こりやすいということです。そのため、プラスチック素材を特に室外等で使用する場合には必ず確認しておくべき項目になります。
そしてこちらの耐候性に関しては「アクリル板」と「ポリカーボネート」が高い耐候性を持ちます。
アクリル板はこの高い耐候性を活かし、看板や自動車のランプカバー、電飾看板のカバーなどに使用されています。もちろん水に対しても耐性があるため、水族館にある大きな水槽にも分厚いアクリル板が使用されています。また、ポリカーボネートも長期間変色・変質が少なく、屋外用に適しているため、看板や身近なものではカーポートの屋根素材などにも使用されています。
プラスチック素材とは異なりますが、アルミ複合板も耐候性が高い素材です。屋外で強い日差しや風雨にさらされても、腐食や変形をすることがないため、こちらも屋外看板素材等で使用されています。

透明度

アクリル板 ポリカーボ
ネート
塩ビ板 PET板 アルミ
複合板
スチレン
ボード
PP板
透明度 × × ×

最後は「透明度」です。
透明性に関しては、4大透明樹脂である、アクリル板、ポリカーボネート、PET板が透明度の高い素材です。特に、アクリル板は透過性 94%と一般的なガラスよりも透過率が良いです。有機ガラスとも呼ばれる程で、実際にガラスの代わりの素材としても使用されています。ポリカーボネートは86%、PETに関しても透過性87%と、これらもアクリルに近い優れた透明性を兼ね備えてます。このように、ガラスに勝る透明度がありながらも、ガラスにはない強度や幅広い加工性を持つことなどから、さまざまなジャンルで重用されています。

 

アクリルや素材を熱加工する際は耐熱温度に注意して作業しよう

ここまで耐熱温度をはじめ、素材それぞれの特徴をご説明してきました。
ここで具体的に、熱加工の一つである「曲げ加工」の方法についてご紹介したいと思います。

まず1つ目は「プレス成型」です。
これはプラスチック素材を加熱し軟化させた後、上の型と下の型で上下から板を挟み、形成する方法です。
部分的な曲げ加工よりも、美しいコーナーが出来、また大きいサイズのものでも曲げることが出来ます。
専門の機械・型が必要となります。

次に「真空成型」です。
雌型または雄型のいずれか一方だけを用いてシートを金型に合わせた形状に成形する方法です。
熱可塑性樹脂のプラスチックを加熱して軟化させた後に、すみやかに型とシートとの隙間を真空にし、シートを型に密着させて、冷却後空気を吹き込んで成形品を取り出します。主に外装カバーや内装カバーとして使用され、内照式の立体看板の製作に適しています。またこの方法であれば、プラスチック板に(平板)に3次元の印刷も可能です。
こちらも専門の機械・型が必要です。

次に「圧空成形」です。
熱可塑性のプラスチックの素材を加熱して軟化させた後、板を下側の型と上側の圧空BOXで挟み、圧力により型に密着させて成形します。
冷却後、空気を吹き込んで板を取り出します。真空成形に比べ高い圧力を得られる利点があり、真空成形によりも複雑な形状や精度の高い成形が可能です。
上記同様専門の機械・型が必要です。

最後は「ヒーター曲げ」です。
ヒーターキットやヒートガンを使用して、熱を加え、曲げて成形します。
基本的に直線曲げしかできず、板厚が厚いものだと、曲げられないか、加熱部の状態が悪くなります。(対象板厚:5mm程度)また最適な条件で加工しなければ、温めすぎると板に気泡が入ったり、局部的に熱を加えるため角度などによっては板に反りが出る可能性があり、きれいに仕上がりません。
ヒーターキットやヒートガンは市販で販売されており、ヒーター曲げはDIY等で曲げ加工が可能な方法になりますが、使用するにあたっては注意すべき点も多く、技術も必要になります。

プラスチック素材の熱加工は上記でもお伝えしたように、物理的耐熱性と化学的耐熱性の両方を鑑みなければならず、技術的にもさまざまな点を留意する必要があるため難しい加工です。例えば、熱加工の中でも多い加工が「曲げ加工」ですが、こちらももちろんそれぞれの素材に合わせて最適な条件で作業をしなければうまく加工ができないため、専門的な知識と技術が必要です。また、そもそも自分で曲げ加工をする場合、ヒートガンやヒーターキットなどの加工器具を準備し、機械的な設備や作業環境も整えなければなりません。

 

アクリルを含む各種素材の購入から加工はアクリルデポへ!

ここまでプラスチック素材の特徴や、熱加工に関してお伝えしてきました。
ご覧頂いたように同じプラスチック素材とは言っても、それぞれの素材によって長所や短所など特徴は異なります。
また熱加工に関しては、プラスチック素材の加工の中でも難しい加工方法になります。各素材の特性を踏まえて温度やその他様々な条件を満たし、素材に合った加工器具を準備して作業をしなければなりません。
時間や労力もかかる上に精度の高いものにできるかも分からないため、熱加工などが必要な場合には、プロに依頼することをおすすめします!


アクリルを含む各種素材の購入から加工はアクリルデポへ!

アクリルデポ


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