①そもそもPET板とは?

みなさんは具体的にプラスチック素材というとどのようなものをご存知でしょうか。
透明の板や素材のこと…?、どれも同じ…?という方も多いのではないでしょうか。
実は、プラスチック素材は30種類以上あり、一見同じように見えても色や材質、性質などは素材によってさまざまです。

そのなかでも今回は「PET板」に注目していきたいと思います!
みなさんにとってもPET板は、プラスチック素材の中でも馴染みがある素材ではないでしょうか。
PET板の正式名称はポリエチレンテレフタレート樹脂」といい、一般的に”ペット”と呼ばれることが多いです。
用途としては、一番分かりやすいものだと名前からも分かるように、ペットボトルの素材として使われています。

 

②PET板とアクリル板の違い

ここからはPET板の特徴について、プラスチック素材の中でも汎用プラスチックに分類される ”アクリル板” と比較をしながら掘り下げていきたいと思います。
具体的には、重量・加工性・透明度・耐熱温度・価格、この5点についてお伝えしていきます。

素材選びでお困りの方は是非参考にして頂き、使用用途や予算など、希望に沿った素材を見つけて頂ければ幸いです。

強度はアクリルの4〜5倍なPET板

まずは強度に関してです。
樹脂素材の衝撃の強さの指標となる一つに、アイゾット衝撃値(単位はkJ/㎡)というものがあります。これは樹脂素材の強度試験の一つである、アイゾット衝撃試験をもとに、試験片を破壊するために必要な力÷試験片の幅で出された値です。試験方法は、試験片の一端を固定して、振子型のハンマーで衝撃を与えた時の吸収エネルギーを計測します。この測定した値が大きければ、試験片が破壊される際に必要な力が大きいということとなり、衝撃強度も強いということになります。
そしてこのアイゾット衝撃値が、アクリルは 2 kJ/㎡ なのに対して、PETは 10 kJ/㎡ であり、
強度に関しては PET板>アクリル板 ということが分かります。

重さはPET板の方が重い

次は重量についてです。
まずプラスチックの重量計算は、 縦(m) x 横(m) x 板厚さ(mm) x 比重重さ(kg) で算出します。
そのため、プラスチックの重さは比重で比較をすることができます。
アクリル板の比重は 「1.19」 に対して、PET板の比重は 「1.27~1.34」 なので、
重量は、 PET板>アクリル板 となります。

※GPET=1.27 (APETを重合する際に、もう一つの成分CHDM(シクロヘキサンジメタノール)を添加することで、原料によって結晶化を防いだ非結晶性PET。)
※APET=1.34 (溶融状態から固体への状態変化のときに、結晶化する前に急冷し、製法によって結晶化を防いだ非結晶性PET。)

 

具体的な数字で比較してみたいと思います。
例えば、3mmの板厚で、3×6サイズの場合だと、

【GPET板】 縦 0.91m × 横 1.82m × 板厚さ 3mm × 比重 1.27 =約 6.31 kg
【アクリル板】 縦 0.925m × 横 1.86m × 板厚さ 3mm × 比重 1.19 =約 6.14 kg

となり、PET板の方が重いことが分かります。

加工はアクリル板の方がしやすい

次は加工性についてです。
PET板は、比較的加工性に優れており、幅広い分野で使用されていますが、アクリル板も、切削加工、溶接 · 接着 · 曲げ加工、成形など一般的なプラスチック加工全般にわたって行いやすいです。
下記でも耐熱温度について詳しく述べますが、例えば、PET板も曲げ加工に関しては熱変形温度が低いので加工しやすいですが、アクリルと比べるとアクリルの方が加工温度の幅があるため加工はよりしやすいです。接着加工においても、PET板専用の接着剤を使用しなければ接着しづらく、アクリル板の方が接着加工もしやすい素材です。またPET素材は柔らかく粘り気のある材質なので、アクリル素材と比べてキズが付きやすく、切削加工(NC加工等)などについてもアクリル板の方が適しています。
このように、PET板も加工性に優れた素材ではありますが、アクリル板と比較するとアクリル板の方がより加工がしやすい素材です。

透明度は同等レベル

次に透明度に関してです。
透明度に関しては アクリル板 ≒ PET板 でほぼ同等レベルです。
アクリル板の透明度は、光線透過率94%で一般ガラスよりも透過率が良く、 有機ガラスとも呼ばれています。実際にガラスの代わりとしても使用されています。
一方PET板の透明度も、光線透過率87%とアクリル板に近い優れた透明度を持ち、このくらいの差であれば、透明度にもそれほど大きい違いはありません。
このようにガラスに劣らぬ透明度がありながらも、ガラスにはない強度や幅広い加工性を持つことなどから、ガラスでは対応しきれないシーンなどでも両素材共に幅広く重用されています。

耐熱温度はアクリル板の方が高い

次は耐熱温度に関してです。
耐熱温度(連続使用温度)は、PET板が 50~60℃ に対して、アクリル板が 70〜90℃ となっており、 アクリル板>PET板 の方が高いです。
PET板も10℃程加工温度の幅があるため、比較的熱加工がしやすいですが、アクリルは20℃程の加工温度の幅があるので、アクリルの方が熱加工に関しては行いやすい素材です。
耐熱温度に関してのコラム記事もあわせてチェックしてみて下さい!
アクリルの耐熱温度から特徴まで他の素材と合わせてご紹介!

 

価格はPET板の方が安い

最後は価格比較です。
今回は、透明度が比較的同等の素材である、「アクリル板」と「ポリカーボネート板」で比較します。
価格は、アクリルデポで販売している
透明GPET板透明アクリル板(押出)ポリカーボネート一般(透明) 厚さは3mm、大きさは3×6サイズ より参照しています。

透明GPET板
3mm 910×1820
透明アクリル板
(押出)
3mm 915×1830
ポリカーボネート一般
(透明)
3mm 910×1820
5,500円(税込) 6,171円(税込) 8,998円(税込)

上記の表のとおり、 透明GPET板 < 透明アクリル板(押出)< ポリカーボネート一般(透明) となり、価格はPET板が一番安いです。
コストを抑えたい場合や大量生産が必要な場合などにもおすすめの素材です。

 

③PET板の注意点

上述してきたように、素材それぞれで特徴は異なります。そのためもちろん取り扱う際の注意すべき点も素材によってさまざまです。
次は、PET板を取り扱うにあたって注意する点についてお伝えしたいと思います。

表面キズがつきやすく長期間使用は劣化がしやすい

加工性の部分でも少しお伝えしたように、PET板は柔らかく、粘り気のある素材です。イメージとしては、ペットボトルを潰しても”パキッ”と割れるのではなく、”グニャ”と曲がる、といった感じです。アクリル板などと比べて素材が柔らかい分、表面のキズは付きやすくなっています。また、耐候性に関してもそれほど優れていないため、直射日光などによって劣化するため、キズや耐候性に関しては注意が必要です。

 

④PET板を使用するオススメの状況

ここまでPET板の特徴や取り扱う際の注意点などについてお伝えしてきました。
では、PET板はどのような状況や場面での使用が適しているのでしょうか。

透明板をお試しで導入してみたい場合にオススメ

PET板は、透明板をお試しで使ってみたいときにおすすめの素材です!
透明のプラスチック素材は他にもありますが、上記のPET板とアクリル板の違いのご説明の中でもあったように、PET板はアクリルと同等レベルの透明度を持ちながらも、アクリル板よりも4~5倍強度が高く、価格も安価です。
そのため、”本来はアクリル板を使用したいけど価格を抑えたい”場合や、”強度を要する”場合など、お試しで透明板を使用したい時やアクリル板の代替品としてご使用いただくこともおすすめです。
上記のPET板の特徴を読んでいただき、加工性や注意点なども踏まえた上で、透明板の素材選びの際にはぜひPET板も検討してみて下さい!

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⑤アクリルデポならご希望サイズのPET板を購入可能!

PET板は、ペットボトルをはじめ食品や化粧品の容器などの身近なものから、産業資材や産業機械部品、工場ラインカバーや機械カバーなどの専門資材まで、幅広い分野において重用されています。

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