目次
アクリル板の種類
今回はアクリル板の種類と特徴、用途に合わせた選び方についてご紹介したいと思います。
数あるプラスチック素材の中でも、業務用としてもDIY素材などとしても幅広く使用されている「アクリル板」。
そのアクリル板にも種類とそれぞれの特徴があります。
アクリル板を使用する際はその特徴を踏まえて、使用用途によって使い分ける必要があります。
まずはどのような種類に分かれているのかをご説明していきたいと思います。
押出
アクリル板は大きく分けて、「押出(おしだし)」と「キャスト」という2種類に分けられます。
まず「押出」について詳しく見ていきたいと思います。
押出は下記図面のように粘土状のアクリル樹脂をローラーで押出して製造されています。
分子量が粗いため、切断した場合粘りやすいので板のまま使用するのに最適です。
押出板は”屋内使用”向けとされており、これは押出板が温度や環境の変化に弱いという理由からです。
押出板の長所と短所を下記でまとめています。
【長所】
・板の厚みが比較的一定である。
・溶剤に溶けやすいためアクリルケースなどの接着加工に適している。
・簡単な穴あけ、切削、折り曲げ等に適している。
・キャスト板に比べて安価である。
【短所】
・耐薬品性が弱い。
・温度や環境の変化に弱い。
・キャストと比べ硬度が低いため反りなどが出やすい。
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キャスト
次は「キャスト」について詳しく見ていきたいと思います。
キャストは下記図面のように2枚のガラスの間にアクリル樹脂を流し込み、硬化させて製造されています。
分子量が細かいため、接着などの場合溶剤に溶けにくいです。
また屋内使用向けの押出板に対して、キャスト板は屋外使用向けになります。
キャスト板の長所と短所を下記でまとめています。
【長所】
・レーザー彫刻や切削加工などの機械加工に適している。
・大判サイズや板厚が厚い板、カラーバリエーションが豊富である。
・押出と比べて硬度が高いため反りなどが出にくい。
【短所】
・押出板と比べて製法上板の厚み公差が大きい。
・溶剤に溶けにくいため、接着加工などには不向きである。
・押出板に比べて高価である。
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アクリル板の用途
冒頭でもお話したように、アクリル板はさまざまなところで使用されています。
ここからは具体的にどのような場面でどのような用途でアクリル板が用いられているのかをご紹介していきたいと思います。
一般用途
一般的な用途として分かりやすい例が、アクリルケースかと思います。
フィギュアや時計、アクセサリーなどを飾ったり保管する際のケースとして重用されています。
これは下記でも詳しく説明しますが、アクリル板の透明度の高さが理由です。
またフォトフレームにも使用されることが多く、彫刻や印刷でさまざまなデザインが施されたものがあります。
その他にも最近では、ウェルカムボードや結婚証明書、席札などのウェディングアイテムをアクリル板で製作するのも人気があります。
アクリル素材で作るウェディングアイテムを特集したページがあるので、ぜひこちらもあわせてご覧下さい♪
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産業用途
次に産業用途としては、看板材料として重用されています。
街で見かける店舗看板や電飾看板等はアクリル製のものが多いです。また蛍光灯のカバーなどにも使用されています。
これはアクリル板の加工性の高さや耐候性の良さを理由に用いられています。
また建築資材などでガラスの代わりとしても使用されることも多いです。
その他にも、水族館の水槽も実はアクリルで出来ています。
アクリル板の特徴と利点
このようにアクリル板は、産業用としてはもちろん一般の方にもさまざまな場面、用途で重用されています。
これはアクリル板が持つ幅広い特性が理由となっています。
ここからはアクリル板の特徴と利点を詳しく見ていきたいと思います。
透明性
まずは「透明度の高さ」です。
これはアクリルの最大の特徴とも言える点で、実際に光線透過率は93%であり、これはガラスの透過率92%よりも高く、ガラスよりも透明度が高いということが分かります。
そのため”有機ガラス”と呼ばれることもあり、アクリル板はプラスチック素材の中でも抜群の透明性を備えています。
その透明度の高さから、割れやすいガラスでは危険な場所や用途などに、ガラスの代用品としてアクリルが用いられることも多いです。
耐久性
次に「耐久性」です。
先程ガラスにも勝る透明度を兼ね備えているとお伝えしたように、一見ガラスに近い見た目や特徴を持つアクリルですが、強度に関してはガラスよりも10~16倍ほどの強さを持ちます。
またガラスであれば割れてしまうとバラバラに破片が飛び散って危険ですが、アクリルであれば割れてしまってもガラスのように粉々になりにくいです。
このように透明度の高さだけではなく耐衝撃性に優れている点からもガラスの代用品として使用されることも多いです。
※プラスチック素材になりますので、割れないというわけではありません。
またアクリル板は耐候性(太陽光や温度・湿度、風雨などの屋外の気候条件にも耐性が高い)も高い素材となります。
耐候性が低いプラスチック素材だと、こういった気候条件によって変色や変形、ひび割れ等の劣化起こります。
イメージで言うと、例えば洗濯ばさみや屋外に置いてあるバケツなどが変色したりひび割れしている状態です。
アクリルはプラスチック素材の中でも耐候性に優れた樹脂になります。
中でも先程お伝えしたように、より耐候性に優れているのがキャストになります。
加工性
次に「加工性」です。
まず、プラスチック板の加工には、カットや接着など、様々な加工がありますが、アクリル板はその中でも加工性にも優れた素材と言われています。
数あるプラスチックの中から今回は皆さんも聞き馴染みがあると思われる「アクリル」、「塩ビ」、「ポリカーボネート」の3素材で、
一般的なプラスチックの加工の可否を表にしてみました。
アクリル | 塩ビ | ポリカーボネート | |
カット | 〇 | 〇 | 〇 |
切削加工 (削りだし) |
〇 | 〇 | 〇 |
溶接・接着 | 〇 | 〇 | × |
曲げ加工 | 〇 | 〇 | △ |
成形 | 〇 | 〇 | △ |
レーザー加工 | 〇 | × | × |
穴アケ | 〇 | 〇 | 〇 |
ミガキ | 〇 | × | × |
このようにこちらの表を見て頂いても分かるように、アクリルはプラスチック板の中でも、可能な加工の種類が多いです。
比較した塩ビやポリカーボネートでは、例えば、熱に弱かったり、反対に熱伝導率が悪いため、加工ができない、加工がしにくいというものもあります。
そういった中で、上記のように一般的なプラスチック加工全般において加工が可能・加工しやすいという点もアクリル板が幅広い場面において多用される大きな理由です。
まとめ
今回はアクリルの種類や特徴についてご説明してきました。
今回ご紹介したアクリルに限らず、どのような素材にもそれぞれメリット、デメリットとなる特徴、そしてそれにあった用途があります。
できない加工や不向きな加工などもあるため、素材選びや加工方法を間違えると加工が出来なかったり、すぐに破損や劣化を起こしてしまう場合があります。
素材を選ぶ際や加工をする際にはそれぞれの素材の特徴を知っておくことが大切です。
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